見たことがない
03 14, 2009
今年の新年会で S.U.さんが
「ペン字や書道をやっていない人にとって
書店のペン字本でしか
“連綿”を見る機会はもう無いでしょう。」
とおっしゃっていたのを聞いて
一瞬 固まりました。
全く考えたことがありませんでしたが
なるほど、確かに今や
そういう時代なのかもしれません。
ひょっとしたらお若い方々は “連綿”はおろか
“手書きの縦書き”や “万年筆でかいた字”を
ごらんになったことが無い向きが多いのでは
ないでしょうか。
だからきっと
「字がきれいになりたかったら
活字フォントを手本にして練習すればよい。」
などという間違った考えが流布するのでしょう。
『えんぴつで書く○○』の大ブームは
ひょっとしたら
“手書きの縦書き”をほとんど見たことがなかった
方々に新鮮に映った、というようなことも
一因かもしれません。
などと、えらそうに言いながら
かくいう私も 山下静雨先生の肉筆お手本を
いただくまで つけペンで書いた字というものを
見たことがありませんでした。
また、書を学び始めるまで
横書きの便箋しかもっていませんでした。
ペン字を学んでいらっしゃる方々は
職場のメモ書きや
また 何かにちょっと一筆添える時などに、
できるだけ「美しい縦書きの連綿」を
披露するようにして
「手書き文字はこんなにも美しいのだ啓蒙推進運動」
に努めていただくようお願いしたいものです。
私も日頃の乱暴な走り書きメモの字を
いいかげん あらためなければなりません。
私の乱暴なメモを見た若人が
「手書き文字は汚いものだ」という認識を
持つことがないように。